2017年4月18日火曜日

【禁煙シリーズ①】タバコの害についてーその1

所長の瀬野尾です。
当院では20167月から禁煙外来を開設しました。
そこでタバコや禁煙外来について皆さんに正しい知識を持っていただくために
できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。

1回の今回はタバコの害についてです。

タバコの害というとどんなものが思いつきますか?
肺がんとか脳卒中とかでしょうか?
もちろん、そういったものもありますが、他にもタバコによって起こる病気や
症状があるのです。
今回はタバコによってどんな病気になりやすいかを簡単に解説していきます。

① がん 
 たばこの煙に発がん性があるのは世界的に知られている事実です。
 喫煙によってがん全体になりやすくなることは確実で、部位別だと
 「確実」:食道がん、肺がん、胃がん、膵がん、子宮頚がん
 「ほぼ確実」:肝がん
 「可能性あり」:大腸がん、乳がん
 と言われています。
 タバコでなりやすいがんは肺がんだけではないのです。

 ② 心臓の病気
 タバコに含まれるニコチンが血管収縮・血圧上昇・血管を壊す、など
といった反応を引き起こすことで狭心症や心筋梗塞といった病気に
なりやすくなります。その他にもお腹の太い血管が膨れて破裂してしまう
腹部大動脈瘤(りゅう)や、足の血管が細くなって足の先に血流がいかなくなる
末梢動脈疾患といった病気にかかりやすくなります。
※:心臓の回りにある冠動脈という細い動脈が狭くなったり詰まったり
  することで心臓が動かなくなる病気

 ③ 脳卒中
 心臓の血管と同様に脳の血管にも同様の変化が起こります。
 その結果、脳こうそく・脳出血やクモ膜下出血といった病気を
 引き起こします。

 ④ 肺気腫(はいきしゅ)
  最近、芸能人がCMに出ることで有名になった病気です。
  専門用語だと慢性閉塞性肺疾患(COPD)とも言います。
  肺が壊れることで、息切れ・咳・痰などの症状が起こります。
  ひどくなると酸素ボンベを持って移動しなければいけなくなります。

 ⑤ 糖尿病
  喫煙自体によって糖尿病の発症する危険性が高まります。
  また前述のとおり、糖尿病による心筋梗塞の発症率も高くなります。
 
 ⑥ アレルギー
 喫煙は気管支喘息などのアレルギーの病気を起こしやすくし、症状なども
悪化させます。
 また、母親が妊娠中に喫煙すると、子どもがアトピー性皮膚炎に
なりやすくなりますし、アトピー性皮膚炎の子どもが受動喫煙すると、
症状が悪化することが知られています

 ⑦ 妊娠・出産
 喫煙は妊娠・出産・育児にさまざまな悪影響を及ぼします。
 具体的には流産・低出生体重児・早産・前置胎盤や常位胎盤早期剥離
など母児ともに危険な状態に陥る可能性のある病気につながります。
 子どもが口唇裂などの奇形を持って生まれるという関連を示唆する
報告や、将来的に高血圧・糖尿病といった生活習慣病と関連があるという
報告もあります。

 ⑧ 認知症
 喫煙によって、アルツハイマー病認知症や脳血管性認知症といった
認知症を発症する危険性が高まります
 
 ⑨ 皮膚症状
 喫煙によってしみやしわが多くなります。
 双子の姉妹で喫煙している人としていない人とを比較した写真が有名です。
 多くの女性がいつまでもキレイでいたいと思われると思いますが、
喫煙されている方は禁煙をおすすめしたいです。

 ⑩ 歯の病気
 喫煙することで歯周病などの歯の病気にかかりやすくなります。
 歯がボロボロになってしまったり、口のがんにもなりやすくなると
言われています。
 親が喫煙していると子どもが虫歯になりやすい、という報告も
あるようです。

いかがでしたでしょうか?
タバコにはみなさんの知らない害がたくさんあるのです。
一度やめることを考えてみませんか?

次回は喫煙が及ぼす回りへの影響についてお話したいと思います。

それでは。

参考文献  日本禁煙学会:「禁煙学」改訂3版;南山堂、2015.  


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