2017年5月25日木曜日

【禁煙シリーズ②】タバコの害についてーその2

禁煙シリーズの第2回です。
今回はタバコが周囲に及ぼす影響について考えてみたいと思います。

2種類の「喫煙」
喫煙には能動喫煙と受動喫煙があります。
能動喫煙とは自分でタバコを吸うことです。
一方、受動喫煙とはタバコを吸わない人がタバコの煙の混ざった空気を吸わされることです。
今回は受動喫煙の害についてお話します。

大人の受動喫煙

第1回でも説明した能動喫煙で起こる病気は受動喫煙でも起こります。
具体的には、肺がん・乳がん・狭心症や心筋梗塞・脳卒中・気管支喘息の発症および悪化・肺気腫(COPD)の発症などの危険性が受動喫煙により高まります。
また受動喫煙を受けた家族の1−2割は早死すると言われています。

子どもの受動喫煙

乳幼児や小児では中耳炎や気管支喘息、気管支炎などの呼吸器感染症にかかることが多いですが、これらは全て受動喫煙によって増えます。
また、姙娠中に母親が喫煙すると、生まれてきた子どもの乳幼児突然死症候群・白血病やリンパ腫・気管支炎や肺炎・中耳炎・の危険性が高まることが知られています。
さらに、知能指数の低下や学童期の肥満、成人期の糖尿病や心臓病の危険性が高まると言われています。
特に学童期の肥満は、妊娠初期(4週まで)の喫煙によって増加すると言われています。妊娠4週は普通妊娠しているかどうか分かりません。妊娠してから禁煙するのでは遅いのです。
子どもを守るためにも、両親ともが妊娠・出産に関係なく喫煙しないようにすることが重要です。

分煙していれば大丈夫?

子どもへのタバコの害について説明すると、
「外で吸ったり、換気扇の下で吸ったりしているから大丈夫」
「子どもの前では吸わないから大丈夫」
と話される方がいます。
本当に大丈夫なのでしょうか?

いかに換気をしても喫煙の行われていた部屋や車内にはタバコ臭が残ります。
壁や床、家具、エアコン回路内に有害物質が残っており、それが原因で体調不良を起こすことがあります。
またタバコ臭は喫煙者の衣服・頭髪・息などからも発散します。
健常者がタバコ臭にさらされると集中力が落ちることが知られてますし、心身の健康を損なうことも懸念されます。
このような状態をサードハンド・スモーキング(三次喫煙)と呼びます。
分煙だけではサードハンド・スモーキングを防ぐことはできません。


喫煙は自分自身だけでなく、大切な友人や愛する家族にも害を与えています。
喫煙されている方は禁煙を考えてみてください。

第3回は禁煙するメリットについて考えてみようと思います。



参考文献  日本禁煙学会:「禁煙学」改訂3版;南山堂、2015.  


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